- 癒しと探究の間にあるダイビング哲学 -
語源はラテン語の「re(再び)」+「create(創造する)」を合わせた言葉のようだ。リクリエーショナルは英語の名詞で「休養・娯楽・気晴らし」=「海の癒しを求める時間」となるのではないだろうか。「つまりリクリエーショナルとは、“海に癒され、自分を再構築する時間”なのかもしれない。」
2000年代には日本でもテクニカルダイビングが入って来ました。ここで言うテクニカルダイビングとは減圧のため直浮上(1気圧の場所へ)が出来ず減圧症のリスクを少なくするため、ある深度で停止を繰り返すダイビングで、そのための器材や厳格なルールやマナーがある。
こと日本のダイビング業界ではリクリエーショナルとテクニカルが”まったく違うもの”として取り扱うケースが多くみられます。海の癒しを求める時間がリクリエーショナルならテクニカルもリクリエーショナルダイビングのように思うのだが、”そもそも論”で考えると分かりやすくなってくる。
そもそも、減圧の無いダイビングはあるのだろうか。答えはNOである。1気圧(ここでは1013.2hPaをスタートと考える)から水の重さのかかる水中に入るということは、1気圧より高い圧力に曝される。つまり潜降=加圧なのだ。反対に1気圧より高い圧力の水中から浮上するということは圧力が減少する。つまり浮上=減圧となる。
1990年以前のダイバーはダイビング終了時直浮上していたが、ダイバー人口の増加とともに減圧症の報告も増加していった。ただし、この増加原因はダイブコンピュターの普及も要因としてあげられる。ダイブコンピュータに関しては別のコラムで。(米)DANがPrecautionary Stop(安全のための予防的停止)を推奨したことで、2000年から2005年にかけ各指導団体は5m3分間の安全停止をルール(常識)化したのである。これこそが浮上=減圧の根拠となる。
そうなると逆にリクリエーショナルダイビングはテクニカルなのかと、思うかもしれないがそうではない。楽しむという意味合いで「食事」に例えるとわかりやすい。食べることに変わりがないが定食屋さんから町の食堂、ファミリーレストラン、はたまた高級レストラン、果ては三つ星レストランと様々ある。きっとTPOで使い分けているはず。そして高級レストランはドレスコードがあるところもある。

そうなのだ、リクリエーショナル=カジュアルウェアでテクニカルはフォーマルウェアと置き換えることができる。軽装で気軽に食事を楽しむ。フォーマルウェアで優雅に食事を楽しむ。ただし、優雅に食事にはメニューに書いてある料理も知らなければならないしテーブルマナーも覚えなければならない。
カジュアルな軽装で三つ星レストランには入れないが、フォーマル(スーツ)で定食屋さんに入ることもできるが、店のおばちゃんに”どっかの会議の帰りかい?”と笑われるかもしれない。「TPOに合わせて潜る。そのときその海に、ふさわしいスタイルで臨む──それがきっと、真に豊かなダイビングなのだと思う。」


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